受験に際して「子どもに期待しない」ことの難しさ

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中学受験_保護者様向け

受験学年6年生関連の記事が続いていたので、週末は少し柔らかい内容の記事を用意していましたが、昨夜、親子に関するニュースを何本も見てしまい、急きょ別の記事を書くことにしました。

中学受験で日常的に暴力か…小6長男の胸を包丁で刺し殺害の父親、初公判で殺意を否定

「勉強理解してくれず腹が立った」長男殴った容疑で母親逮捕(神戸)

「何するにも行動が遅く…」当時の長男に殴る蹴るの暴行、30歳元父親を逮捕(北海道)

一つ目のニュースは、3年ほど前に名古屋で起きた事件です。父親が名古屋の名門中高一貫校の卒業生で、息子も同じ中学校に入学させるために勉強させていたけど、父親が思うようには勉強せず、タイトルのような結末を迎えてしまいました。

事件の第一報を聞いた時は非常に衝撃を受けましたが、その後の続報を聞いて「あれ?」と思いました。父親の職業を聞いて、私と同様のことと思われた保護者様もいらっしゃると思います。その職業と名門中高一貫校を結ぶ接点を見つけることは難しかったからです。

事件の概要ばかり書いていても仕方がありませんので、残り二つの事件の詳細は割愛します。

親が子どもに暴力をふるう事件が報道されるたびに私が思うことは、人間は自分の感情をコントロールすることが難しいことと、自分の子どもであっても他人であり、他人を思うように動かすことはできないことです。私もそうですが、自分の子ども(我が家の場合はぼんず君)とはその子が生まれる1年ほど前のお腹の中にいる時からずっと一緒で、自分と子どもは一心同体の気持ちになりがちです。

でも、当たり前ですが、子どもは親とは別の人格を持った人間で、性格も能力も好みも、何もかもが異なるものです。もちろん同じ家で暮らし、同じ食事を食べて、長い時間を一緒に暮らすうちに、趣味や好きな食べ物が共通するかもしれませんが、親は年を取り、子どもは成長するうちに、両者の接点や共通点は少なくなります。

自分よりも背が高くなり、力も強くなった子どもに対してでも、まだ自分が守ってやらないと、教えてやらないと、といつまで経っても親は思うものです。子どもからすれば、おせっかい、ありがた迷惑です。親の思い=干渉の度が過ぎると、揉め事の原因になります。嘘や不真面目をごまかすために子どもが逆切れするのは論外ですが、親のやり方の押し付けはもういい、と態度で示された場合は、親はある程度の距離を置く時期が来たことに気が付かなければなりません

中学受験の勉強を始めたばかりの頃に、中学受験終了組の親しい知人から言われた言葉が印象的でした。それは、学生時代に勉強ができなかった親は、自分の苦労を子どもにさせたくないから子どもに勉強を強いるけど、子どもは親の遺伝子を引き継いでいるんだから、親以上に賢くなるのは難しいことを親は自覚すべき

逆に、学生時代に勉強ができた親は、自分ができたことを子どもができないわけがないと思いがちだけど、親の時代とは勉強方法も勉強の内容も全く異なる。親のやり方がすべて通じるわけではないし、子どもが親の能力をそのまま引き継いでいるわけでもない。自分の子どもは賢いに決まっているという思い込みは捨てるべき

知人が私に言いたかったことは、「あまり子どもに期待しないこと」です。勉強できても、できなくても、合格しても、不合格でも、困るのは子どもであって、親ではありません。それなのに、親が子どもの合格校にこだわるのは、もしかすると学校名のブランドにこだわっているのではないか、と言われました。

この指摘は、私にはかなり図星でした。4人のお子様全員を東大理IIIに合格させた佐藤ママが、写真館での記念撮影で灘中の体操服を男の子3名に着せた写真を撮影した話を聞いて、「いいなあ」と思うか、「どこがいいの?」と思うかで価値観が分かります。

保護者様が学校名にこだわってもいいと思います。私もぼんず君の受験校を決めるまでには随分検討しました。こだわりも大きかったです。そのこだわりと、冒頭のリンクにある事件の保護者との違いはなんだろう、と考えると、やはり保護者側の忍耐力だろうと思います。

何度同じことを教えてもすぐに忘れる、テストで点数が取れない、すぐさぼる、ずるをする、どれも受験時代のあるある出来事です。我が家でも何度も経験しました。発見したら注意しますし、怒りが爆発したこともあります。それでも、私はぼんず君に対しては我慢する場面が圧倒的に多かったです。我慢のし過ぎで体調に異変が出続けて、このまま我慢を続けたら、多分ガンになるな、と自覚したほどです。

お子様の成績がふるわない時は、本日の記事の内容をほんの少し思い出していただきたいです。基本的に、保護者様は「我慢」が必要です。張り付いて勉強させるのもよし、個別や家庭教師をフル活用してもよし、お子様の自主性に任せるのもよし、です。出てきた結果に対して、足りないことや方向性をお子様に示すことはできますが、それを実行するのはお子様です。

どんなに保護者様が一生懸命お子様第一で行動し続けても、お子様に響かず、お子様に対する怒りを抑えることができなくなってしまったら、その時は、怒りをぶつけるよりも、家出でもした方がよいです。私は何度も家出をしようと思いましたが、実行には至りませんでした。中学生になった今は、「(あまりにも目に余る行動が続いたら)黙って家出するわ」と宣言しています。

お子様はもちろん大切ですが、保護者様だって一人の人間です。誰も配慮してくれないなら、(お子様にだけ)黙って姿を消すことで、不毛な衝突が避けられるなら、それもよいと思います。

学歴は身を助けてくれますが、学歴だけでは世の中を渡っていくことはできません。ぼんず君に説明しても理解できませんでしたが、折に触れてこの話は続けます。無理せず、もめずに、でも前に進ませたい。難しいです。

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