昨日の記事「夏期講習(志望校別特訓)の資格偏差値が取れない場合、どうするか(戦略編)」の続きです。昨日の記事は非常に多くの方に読んでいただきました。お一人の保護者様からの質問に対する回答として記事を書きましたが、その内容は受験生をお持ちの保護者様の多くに当てはまるのかな、と思いました。
1つでも難易度が高い中学校にお子様を入れたいと思う保護者様が多いため、ぎりぎり狙いの受験校を選ばれる方が多いです。どの学校でも、最低合格点付近に1点刻み(4科の場合は換算するため、0.3~0.5点)で数十名が固まっています。あと1点あれば合格できたのに、というお子様が10数名いらっしゃいます。
夏期講習、7月からの志望校別特訓で希望するコースの資格偏差値が取れず、その後、基準偏差値をぎりぎりでクリアし、いちばん下のクラスで志望する中学校の特訓を受講することができたとします。4組や5組から合格する可能性は、ゼロではありませんが極めて低いです。
このまま最後までいちばん下のクラスで終わるかもしれません。秋からの資格偏差値が取れなくて、1つ下のコースに移動させられるかもしれません。
一方で、4組から、3組、2組と、じわじわと少しずつ上のクラスに上がってくるお子様もいらっしゃいます。人数は極めて少ないです。逆に、1組からは少ないですが、2組から3組に落ちて、そのまま3組で終わるお子様も、そこそこいらっしゃいます。
ぼんず君は、志望校別特訓では、最初から最後までずっと同じクラスで安定していましたが、そのようなお子様の方が少ないと、塾の先生に言われました。クラスは安定していましたが、成績は恐ろしく不安定でした。浜学園での3年半の間の公開学力テスト偏差値推移を記事で公開しましたが、折れ線グラフはずっとギザギザで、しかも最後の6年12月公開は、大失敗の結果に終わりました。
6年生の1年間は、皆が勢いをつけて勉強をし始める夏以降は、成績を上げることは非常に難しいです。皆と一緒に全体のレベルが上がるだけで、難しい問題が解けるようになっても偏差値は上がりません。
その中で、「最難関コース偏差値56をどんなことがあっても目指す!」と、保護者様が付きっ切りで、あるいは連日、個別や家庭教師をフル活用して、勉強させる。時には、小学校を早退させたり(欠席日数上限があるので、休みは後半に使うべきです。)、授業中に寝てもいいから、などとめちゃくちゃなことを言って、勉強に追い立てまくる。
全部、私がしてきたことですが、これでお子様は本当に幸せに勉強できているでしょうか。睡眠時間を削り、出来が悪いと親に怒られ、思うように成績が上がらないで毎日イライラし、こんなことなら受験なんかしなければよかったと思っているかもしれません。
限界まで勉強を続けても成績が上がらない場合、お盆までの時期に受講コースのレベルを現時点での偏差値に落とすやり方もあります。コースを落としたお子様の最初の感想は、「問題が簡単!」「自力で解ける!」「ぱあっと目の前が開けた」などで、これは夏以降にM灘から甲陽や東大寺コースに変更されたお子様が一様に話す内容です。
ギリギリの最難関校狙いから、余裕を持たせた難関校狙いに変更すれば、合格可能性は一気に高くなります。回し合格のある学校であれば、よほどのことがない限り、どこかのコースに合格するでしょう。中学校に入学してからも、ぎりぎりで入学して最下位になる心配をする必要はありません。
コース変更後の受験勉強も、保護者様が追い立てて、追い詰めるように勉強させなくても、合否やオープンでAやB判定が取れるのではないでしょうか。難関校、中堅校の上位層を維持できれば、最難関校で最下位に沈んでしまった「深海魚」状態のお子様よりも、はるかに高い大学に進学できるでしょう。
これは、小学生らしい生活やお子様の精神状態に配慮し、お子様の幸せを考えた選択です。6年後の大学進学までを見据えても、賢明な選択だと思います。集団に属する以上は、上に位置しないと報われる機会が少なくなります。上位層にいれば、学校からも大切にされます。
以上は、一般論の話です。私はこの選択をしませんでした。最後までぼんず君を追い込んで、勉強を続けさせました。ぼんず君がこのまま家に帰ってこなくなるかもしれないと心配して、仕事を辞めてからは、小学校と塾の行き帰りを送迎しました。心当たりが山ほどあったので、ぼんず君を一人きりにしませんでした。
受験を止めようとも何度も思いましたが、これまでに費やした時間、費用、仕事を辞めて受験に専念したことを考えると、撤退はできませんでした。不安定な成績が原因で、親子喧嘩も頻発しました。このブログで「親子喧嘩は不合格への道」と書くのは、自分の経験からです。
6年生の1年間は、幸せからはいちばん遠い状態でした。心の安定は幸せの絶対条件であると痛感しました。5年生までの平穏な状態に戻りたかった。
6年生で予想外に成績がさらに上昇し、ぼんず君も、私も、周りの先生方も、最高の結果を出して当然、と思うようになりました。決して賢い部類には入らない、心は保育園児のようなぼんず君は、たまたま偏差値70台を何度か取ったために、つぶさんばかりに、勉強に追い立てられました。
自分でも鬼だな、、、と思いながらの受験を伴走しました。ただ、信念は全くぶれませんでした。それは、ぼんず君に最高の環境を与えてあげたい。それだけです。その環境は合格した人しか手に入れることができません。「そこまで無理をして最難関校に行く意味があるのか。」と、最難関校出身者の方は言わないと思います。
受験勉強中はどんなに苦しくても、入学してしばらくしたら、何年後になるかは分かりませんが、「お母さんが勉強しろとうるさく言ってくれたから、この学校に入れたんだよ。ありがとう」と気付いてくれるだろう。と思って、最後まで方針を変えませんでした。
入学から1年経ちました。6年生の暗黒時代は遠い昔のことのようです。「あれはしんどかったね」とようやく話しができるようになりました。もし、合格できていなくても、どこかの併願校で学内上位を目指して、引き続き勉強を頑張っていたと思います。浜学園での最後の1年間で、ぼんず君は「勉強は将来の自分のためにするもの」と気付いたようです。これは大きな収穫です。
一方で課題もありました。決して上位合格ではないぼんず君は、中学入学後も相当な勉強が必要になることが分かっていたからです。何もしなければ確実に「深海魚」です。平均以下で入学したぼんず君がスムーズに勉強についていけるよう、さまざまな策を考えました。その話は後日まとめます。
6年生の保護者様は、お子様をとことん追い込むか、安全策を取るか。お子様の性格をいちばんよくご存じの保護者様が方向性を(黙って)決めてあげるのがよいと思います。ただ、お子様が壊れそうになった時は、すぐに楽な道に修正してあげてください。命を捨ててまで受験勉強をする価値はありません。
「とことん行く」と腹を括られた保護者様は、このブログが参考になると思います。統一入試日まで走り続けましょう。最後まで応援し続けます!
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