■7月公開返却後に個別への問合わせが増えます
7月の公開学力テストの結果が返却される頃から、個別塾の問い合わせ、申し込みが急増するそうです。申込の多くは6年生で、志望校別特訓の資格偏差値が取れないために、早急に成績を上げたいという希望で申し込まれると聞いたことがあります。
個別塾への通塾を始めるだけですぐに成績が上がるのであれば、いくらでも月謝を払う保護者様は少なくないと思います。我が家は6年生の7月から国語の個別指導を始めましたが、目に見える効果が出始めたのは秋、何とか仕上がってきたかなと確実な手ごたえを感じたのは12月です。
申込時に私から「目標達成までに半年はかかると思います。長い目で見ることができる時期ではありませんが、辛抱強く見守ります。見守るだけではなく、自宅でできることは全力で私が教えます」という話をした記憶があります。
半年間、国語の記述対策を中心に指導をしていただき、自宅学習もこれ以上できないくらいに力を入れて記述対策を続けました。まさに個別塾の先生と二人三脚で勉強を進めました。「ここまで自宅で教えられる親御さんは見たことがありません」という誉め言葉におだてられて、私もとことん教える研究を続けたのがよかったのだと思います。
最後は個別の先生になりませんか?とお誘いをいただくほどでしたが、よそのお子様にぼんず君受験時と同じ熱意で教える自信はありませんでしたので、仕事に困ったら連絡します笑とお返事しました。
■個別に駆け込み入塾してもすぐに成績は上がりません
我が家は半年間我慢できる状態で個別指導を始めましたが、中には「志望校別特訓の資格をすぐに取らないといけない」「急いで成績を上げてほしい」などの要望を持って入塾される6年生もいらっしゃるそうです。
どれだけエース級の先生が指導されても、7月指導開始で8月の公開ですぐに志望校別特訓の資格が取れる保証はありません。おそらく難しいでしょう。
私が個別塾の担当であれば、入塾をお断りするかもしれません。「1カ月で偏差値10以上上げるのは無理だから」という理由で入塾をお断りすると問題になるかもしれないので、「ご要望を満たせる講師の枠があいにく満席で」という伝え方をして、お引き取りをご納得いただけるようにすると思います。
個別塾や家庭教師の月謝は非常に高額です。1対1のマンツーマン指導、家庭教師の場合は自宅まで先生が出向くための移動時間も加味されるために、集団塾の数倍以上請求されても驚くことではありません。
これだけ高額な月謝を払い続けても成績が上がらなければ、ご家庭の気質によってはクレームを受ける可能性もあるので、個別塾の教室長は大変だろうなぁと思いながら6年生の時は通塾を続けました。
■「短期間での成績上昇提案」は怪しいかも
6年生で個別塾や家庭教師の指導を開始されるのであれば、7月の今が最後のチャンスであることは以前の記事でご紹介したことがあります。成績を上げるには半年は必要であること、1カ月、2カ月で成績が上がらないからと先生を責めても、それはやや無理難題な要望であり、少なくとも3カ月間は見守っていただく必要があるからです。
3カ月見守り続け、半年間指導を続けてもらっても、上昇できる成績には限度があります。6年生に限らず、半年間で偏差値50から70に上げてほしいという要望を出しても、それに応えることは極めて難しいです。
もしその要望を「大丈夫です。お任せください」と言って受ける個別や家庭教師があれば、それは騙されているか、最初から上げるのは無理だと分かっているのに仕事が少ないから受けている可能性も考えられます。
数年にわたり通い続けた進学塾の指導が結果を出すことができず、自宅学習でも思うような成果が出なかったお子様が、個別や家庭教師の指導を受けるだけですぐに結果が出るとは思えません。
少し疑った方がいいかもしれない例は
- あまりにも現実的でない成績上昇の希望に対して、難なく達成可能であると豪語する。
- 相場よりも相当に高額な月謝を要求される。
塾の先生に相談する話ではありませんので、最近に中学受験を終えた保護者様の知り合いがいらっしゃれば相談をしていただきたいです。客観的に見てもらい、率直な感想を教えてもらうと目が覚めるかもしれません。
■個別や家庭教師検討前にしていただきたいこと
長年思い続けた志望校にどうしても合格したいという気持ちから、藁をもつかむ思いで個別塾や家庭教師の駆け込み申込をしたくなる気持ちは非常によく分かります。
ただ、その前に必要なことがあるはずです。
それは、受験をするお子様についてです。勉強に対するやる気はありますでしょうか? 志望校別特訓の資格偏差値に届かないことに対してどう考えているか(原因、何をすればいいかの対策など)を話し合ったことはありますでしょうか?
資格偏差値にいつまでも到達できない場合は志望校の見直しを現実的にしなければなりません。言いにくい話ですが、どこかで切り出さなければなりません。
7月も下旬に近くなりました。そろそろ現実を見なければならない時期です。憧れの志望校ばかり追いかけることから、手に届く志望校の候補を検討する時期になりました。
志望校を変更した方がいいと言ってくれる進学塾は多くありません。浜学園は個人の希望を尊重するので、よほどの成績でない限りは変更を提案してきません。
■お子様との話し合いは早い方がよいです
浜学園とは逆に、面倒見の良さをうたう進学塾はプレ模試の結果をもとに志望校変更を提案してきます。コースを追い出されるという見方もできますが、私は非常に良心的な塾だと思います。言いにくいこと、言われて気分がよくならないことを、わざわざ指摘してくれるわけです。
塾からの提案をどう受け止めるかや個別・家庭教師の追加を検討する前に、お子様と現状の話をすることがいちばんしなければならないことです。お子様がやる気をなくすかもしれないので厳しい話ができないとお考えの保護者様は、それではいつ、その話をされるのでしょうか。
8月のオープンの結果を待つのか、9月いよいよ本格的に過去問解きを始める時に話をするのか。後回しにすればするほど、その後の対応が難しくなります。
お子様が「最初の志望校に受からないなら、もういい。勉強しない」と言い出した時、保護者様はどう対応するか、あらかじめ考えておく必要があります。
志望校を変更する場合、志望校別特訓の先生への相談、過去問解き用の赤本の入手、学校説明会への参加申し込みなどの事務手続きもあります。
■話し合いの前に保護者様は味方を作って
私の意見ですが、お子様にいろいろなことを伝えるなら今の時期しかないと思います。
現実を伝えることで、中学受験をしないとお子様は言い出すかもしれません。全く勉強に身が入らなくなるかもしれません。もしかしたら自宅で暴れるかもしれません。
それらの対応すべてを保護者様、特に母親1人で対応することは本当に無理です。味方が必要です。
あるいは、やる気がないなら放っておく、受験しないというならのんびりさせてみる手もあります。何日間か何週間かどれだけの間、お子様がのんびりし続けるかは分かりません。
気が済むまでのんびりしたら「まぁ仕方がないからまた勉強するわ」と気を取り直してくれるかもしれませんが、全く分かりません。かなりの賭けです。
お子様と話しをするなら、徹底的に、何度も同じ話をせずに1度でお子様を説得するつもりで臨んでいただきたいです。
6年生の夏になっても目指す志望校に成績が届かず、やむを得ず志望校を変更する時にお子様が凹んだり、やる気をなくすことを極力避けるためのちょっとしたコツもあります。
記事が長くなりましたので、またの機会にご紹介したいと思います。
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