[6年生]入試直前に塾から志望校変更を提案された場合

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小6受験生対応
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■6年生保護者様からのご質問&回答です

本日の記事は、6年生の保護者様からいただいたご質問に回答する形でまとめます。随分前にいただいたご質問で、「早く回答しなければ…」と思いながら、12月になってしまいました。申し訳ありません。

ご質問内容を要約すると

  1. 志望校別特訓で2組に在籍中。
  2. 塾の先生からコース変更(=志望校変更)を打診された。
  3. 夏休みの冠模試では上位で合格できている。過去問解きでは合格者平均点が取れている。
  4. 直前期の志望校変更は本人のやる気喪失になりかねない。

 志望校変更に関するご相談は毎年いただく内容です。成績が上位鉄板組のお子様であれば、保護者様はお子様の体調管理に気を付けて、お弁当を作って見守るだけで十分ですが、多くの受験生は実際の学力と同程度または学力よりも少し高めの学校を志望校にする傾向が強く、その結果、当落ボーダーラインの成績であるお子様が多くなります。

「どうしよう、どうしよう」と毎日、毎晩、保護者様が悩む気持ちは非常によく分かります。「これが正しい選択です」という答えはなく、聞く人ごとに異なる回答が示されることもあります。お子様、保護者様、塾の先生とそれぞれの思いが一致しないこともあります。これまでには想像もできなかったような家庭内・外でのトラブルが起きるのは、受験直前期です。

この問題に正解はありません。どの選択をしても正解かもしれないし、間違っているかもしれません。非常に複雑で、かつ、お子様の将来に大きな影響を及ぼす選択だからこそ、1つずつ整理して考えてみます。

■塾の先生が志望校変更を提案する背景

中学受験専門の進学塾の最大の目標は、預かった生徒さんの進学先を確保することです。関西統一入試終了後の塾の先生方のいちばんの仕事の1つに、どこにも合格できなかったお子様の進学先を確保することがあります。

「全落ち」して進学先が決まらなかったお子様の話は毎年耳にします。合格祝賀会欠席、塾からの連絡に全く未応答、消息不明で誰もそのお子様の進学先が分からないなど、ご家庭内は大丈夫なのだろうか…と心配になる様子を聞いたことがあります。 

塾としては、全落ちを回避するために当落ボーダーより下のお子様に対して、夏休み以降の面談で塾の先生が志望校変更を打診されることがあります。浜学園は極めて緩やかな示唆や提案ですが、塾によっては在籍する志望校別特訓のクラスから別のクラスに移動するよう言われることもあります。

頼みもしないのに塾の先生が志望校変更を提案してくる場合、①お子様の現在の学力不足、②直前期に成績の伸びが期待できない、③志望校の校風とお子様の気質が合わないかもしれない、などの理由が考えられます。

塾からそのような提案があった場合、まずはお子様抜きで、先生と保護者様の二者面談で塾の先生の意図を確認することを強くおすすめします。その上で、保護者様が決断すればよいことで、塾の志望校変更に必ずしも従う必要はありません。

ただし、志望校別特訓や直前特訓のクラス移動を指示された場合は、志望校を変更するか、コース変更に従いながらも初志貫徹するか、転塾先を探すか、早急な対応が必要です。

■保護者様が中学受験をどう考えるか

関西地区の場合、中学受験をするお子様の割合は全体の約1割です。大手進学塾に長く在籍すると中学受験が当たり前の感覚になりますが、関西地区では約9割のお子様が公立中学校に進学します。中学受験は義務でもないし、受験して当たり前でもありません。

その上で、なぜお子様に中学受験をすすめようと決められたのかをもう一度整理されてみることは、今後の決断や思考の整理に役立ちます。

考えられる理由は

  1. 公立中学校への進学回避(恵まれた教育環境、先取り授業、向学心の強い同級生との学生生活)
  2. どうしても進学させたい中学校がある(憧れの〇〇中、大学までエスカレート式の付属中学など)

1.が理由であれば、確実に合格できそうな併願校+チャレンジ校の受験で私立中学校の進学先を確保する必要があります。塾の先生から「チャレンジ校の合格は厳しい」と言われた場合は、かなり確実に合格できそうな併願校をできれば複数受験するか、チャレンジ校そのものを変更するか、これはご家庭での判断になります。併願校が浮かばない時は、迷わず塾の先生に相談です。

2.が理由の場合でも、公立中学校への進学は回避したいとお考えであれば、憧れの志望校+確実に合格できそうな併願校を受験する必要があります。

中には、憧れの志望校だけを受験し、不合格の時は公立中学校に進学すると、覚悟を決めて受験されるお子様もいらっしゃいます。残念ながら志望校に合格できず、公立中学校に進学して、高校受験で憧れの志望校に合格されたお子様の話を聞いたことがあります。

いわゆるリベンジ受験ができるのは、高校受験を実施する学校だけです。東大寺学園はあと2回で高校募集を中止します。甲陽、洛星は高校募集なし、大阪星光の高校募集枠は10名以下で募集のない年もあります。関西最難関七校で高校受験できるのは、灘、西大和、洛南、大阪星光(+東大寺はあと2回)だけです。

■憧れの志望校にこだわるのは保護者様かも

憧れの志望校1校だけを受験し、残念な結果となって公立中学校に進学する場合、非常に強い意志を3年間持ち続けることが必要です。あまりおすすめできません。お子様がしんどすぎる上に、中学校の授業内容は中学受験ですでに学んだ内容と重複する割合が多くて退屈です。内申点を確保するために先生に気に入られるよう計算高くふるまう必要もあります。

確実に合格できそうな併願校を受験する場合、併願校に進学する可能性を考えて、ご家庭内で併願校ヨイショ&褒めを計画的・継続的に続ける必要があります。「あんな学校」「あれくらいの学校」など併願校を下に見る発言は禁句です。

併願校に進学することになっても、多くのお子様は進学先の環境に案外スムーズになじみます。「この学校に進学するために、神様はチャンレンジ校に合格させなかったのかな」と思うお子様もいらっしゃるくらいです。

気持ちを切り替えることができないのは、お子様よりも保護者様であることの方が多いです。中学校を卒業しても、高校に進学しても、高校を卒業しても、ずっと「憧れの志望校に入学してほしかった」と思い続ける保護者様もいらっしゃいます。ご自身で夜中に思い続けることは問題ありませんが、お子様にはその気持ちは伝えるべきではありません。

中には、進学した併願校にどうしてもなじむことができない、憧れの志望校にもう一度挑戦したい、と思うようになるお子様もいらっしゃいます。私立中学校に在籍したままで高校受験の勉強を始めるお子様もいらっしゃいますが、私立中学校のカリキュラムと高校受験の範囲に違いがあること(特に数学)、高校受験を認めない私立中学校もあることから、どこかの時点で公立中学校に編入する選択をするケースが多いようです。この話は非常に長くなるので、ここで止めます。

■いちばん大切なことはお子様の気持ちです

塾の先生からの志望校の変更を提案されても、保護者様が確実な併願校の組み合わせを一生懸命考えても、結局受験して進学するのはお子様です。

どうしても挑戦したい志望校があるなら、「挑戦してみようか」とお子様に声をかけるのもひとつです。志望校のランクを1つ落とすよりも挑戦を選択する方が、保護者様も塾の先生もしんどいです。確実な併願校の組み合わせを考えて、併願校の良さをさりげなくアピールし続けてお子様を洗脳し、合格発表まで来る日も来る日も「実力ついただろうか」「記述は書けるようになっただろうか」「合格最低点はクリアできるか」と毎晩悩まなければなりません。

お子様に志望校変更を提案する上で大変なことは、お子様が志望校変更を納得して受け入れることです。渋々納得させると、「自分が決めたことではない」といちばん大切な時期である直前特訓以降に全力で勉強する意欲が出ないかもしれません。

直前特訓の勉強量は、小学生が耐えられる限界をはるかに超えた膨大な量です。やる気がない状態で参加すれば、毎日大量のプリントを持ち帰るだけの状態になり、変更した志望校にも合格できない恐れも出てきます。

■お子様との話し合い、私ならこうやります

我が家がご質問いただいた状況と仮定して、私なら以下のように対応します。

まず、志望校別特訓で2組にいる以上、第一志望校は変更しません。過去問解きで合格者平均点が安定して取れるのであれば、かなり有望です。冠模試でも合格(A判定)であれば、たとえ公開学力テストでどぼんの月があっても、合格できる可能性は十分にあります。

塾の先生からの打診は「アドバイスとしてありがたくいただきますが、後は我が家で決めます。併願校のご相談を後日させてください」で終わらせます。そもそも先生と面談はさせないです。

11月、12月と2組で半分よりも上の成績であれば、そのままいきます。最下位に近い成績の場合、念のために子どもにもう一度確認します。我が家の場合は公立回避(理由はぼんず君は公立小学校で苦労したので、公立中学校ではもっと苦労することが分かっているからです)のため、2組で最下位近いなら、確実な併願校も受験して、最後までチャレンジ校に向けてがんばるように誘導します。

志望校は極力変更しない方向で考えますが、例外もあります。話が長くなりましたので、次回の記事で続きをまとめます。

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