中学受験対策の進学塾は、2月から新学期が始まります。そのため、2月に入塾をすると、その学年で学ぶ内容の全て講義で聞くことができます。途中から入塾すると、特に算数は苦戦します。
塾のカリキュラムは「スパイラル(らせん)方式」を採用するところが多いです。これは、同一単元を学年が上がるにつれて難しい内容に進化させながら、繰り返し学習させる仕組みです。
例えば、場合の数は、最初はさいころを1回振って「3」の目が出る確率を求めるレベルから始まり、塗り絵、順列、トーナメントなどパターンが増えて、解法が複雑化していきます。毎年、同じような単元を繰り返し学習することで、知識の定着が図れることと、無理なくレベルアップできる方式ですが、途中から加わると大変です。
我が家は小3の9月入塾でした。クラスの半分以上は2年生から通塾をしているお子様で、前の学年でも塾で算数を学んでいます。1年の半分以上が終了している状態の中に初心者がいきなり紛れ込んだので、小3時代は何から手を付けていいか分からないほど混乱していました。
ただ、どの時期から入塾しても最初は混乱すると思いますので、必ずしも2月スタートにこだわらなくてもよいと思います。「塾で勉強してみようかな」とお子様が思った(保護者様が誘導できた)時が、通塾開始に適切な時期ではないでしょうか。
進学塾に入る前に奨学社などで鍛えられたお子様は別ですが、我が家のように初めて集団塾に通うお子様は、集団塾で授業を受けるために必要なスキルを身に付けてないかもしれません。勉強以外のちょっとしたことですが、これができるとできないとでは、授業の理解度が大きく変わってきます。
■黒板の内容を素早くノートに写せる(板書)
塾の授業は、量も難易度もスピードも、小学校の授業とは大きく異なります。初めて集団塾に通われるお子様が、おそらくいちばん大変だなと感じられることは、「授業中に早くノートを取ること」です。とにかく書く量が多いです。しかも急いで書く必要があります。特に算数は、問題数の扱いが多く、先生は黒板に解法をどんどん書いて、最初のものは消して、また書く、の繰り返しです。
ご自宅や学校での生活で、お子様の動きがゆっくり目かなと思われる保護者様は、お子様が文字を早く書ける練習をしてあげてください。
文字を早く書けるようになったら、次は、先生が口頭で説明する内容をノートに書き写せるように練習をします。これは中学生でも難しいです。なぜなら、口頭での説明すべてをノートに書き写すことは不可能で、特に大切なところは何かを判断しながら、先生の話を聞く必要があるからです。
小学校低学年で練習なしにこれができたらすごい!ですが、多くのお子様には難しいと思います。私がぼんず君に板書の仕方を説明する際に伝えたことは、
- まずは黒板の文字を全部書き写す。
- 先生が皆の前を向いて、「これは大切だよ」「テストに出るよ」「必ず覚えよう」と強調した内容が板書と同じものなら、ノートに色ペンで線を引く。
- 強調した内容が黒板に書かれてないことであれば、急いでノートに書く。
3番が必要なことが多かったのは国語です。特に、物語文の登場人物の気持ちや、行動の理由を先生が口頭で説明していたようです。推測なのは、直接授業を見たわけではないからです。そして、国語の教育相談で「それは授業で説明したのですが…」と言われる内容が、ノートに書かれてないことがあったからです。
すべてを書き写すのは難しいですが、「気持ちの変化に注意」程度の内容でいいので、がんばって書き写すよう、お子様をうまく誘導してあげてください。
■先生の雑談や脱線を引きずらない。
1時間近い授業にメリハリをつけるために、多くの先生が授業の途中でちょっとした面白い話をはさんで、お子様の興味を引いたり、集中力を立て直す工夫をされています。お話の上手な先生が多いので、授業中にどっと笑いが起きたり、「そうやねん」などと合いの手を入れるお子様がいたり、毎回の授業は楽しく、あっという間に授業は終わります。
そこで、「あー楽しかった」では困ります。ぼんず君に当日の授業内容を確認しても、先生のギャグしか覚えてないことがありました。通塾の長いお子様は、頭の切り替えが上手で、「さっ、ギャグ終わったし」とまた黙々とノートを取ったり、問題を解くことができます。先生に合いの手を入れながら、算数の問題が解けるツワモノもいます。
しかし、通塾を始めたばかりのお子様は、そうはいきません。先生の話術に引き込まれて、ノートを取る手が止まったり、クラスメイトと話をして集中力が欠けることもあります。
みんなと同じタイミングでわーっと盛り上がるのはいいけど、メリハリつけて、また授業に集中して、ノートを取ろうねと話をしてあげていただきたいです。
■いい意味で成績にこだわる
通塾したての頃はぴんと来ないかもしれませんが、2カ月に1度(頻度は塾により異なります)クラス替えがあります。成績が下がれば下のクラスに落ちるし、成績が上がればクラスアップします。塾によっては座席も成績順です。こうやって生徒同士で競争させることで、全体のレベルを上げる戦略です。
塾に通う以上は、上のクラス、上の成績を目指してがんばろうね。と具体的な目標を作って、お子様の励みになるようお話をしてあげてください。
ただ、成績は上がることもあれば、下がることもあります。成績が下がった時に「どうなってるのよ!」ときつく注意すると、お子様は逃げ場がなくなって、テストで不正を働くきっかけとなるかもしれません。クラスを落としてしまった時は、責めるのではなく、次のクラス替えで必ず元に戻ろう!と声をかけていただきたいです。
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