本日は、東洋経済オンラインの記事「中学受験で全落ちした親と子に必要なこと」をご紹介します。
ブログのタイトルはオンライン記事のタイトルとはあえて異なるものにしました。記事の中で非常に気になった箇所があったためです。その気になる箇所に焦点を当てて、記事をご紹介していきます。
著者は一般社団法人教育デザインラボ代表理事の石田勝紀氏で、これまでの3500人以上の直接指導と5万人以上の間接指導の経験をお持ちの教育のプロです。
■成績が上がらないのに塾が楽しいという矛盾
記事は、人気の難関中学受験にすべて失敗し、併願校にしか合格しなかった女子の保護者様からの相談とその回答をまとめたものです。
相談者のお子様は、成績が上がらないにもかかわらず、偏差値が高い学校を受験したいと言い、自習室にも足繁く通い、勉強は楽しいと言っていました。このような受験前の状態は、どう考えても矛盾しています。
でも、それは変わっているのではなく、お子様は「理想的な自分に陶酔するタイプ」だというだけです。
- 自習室に足繁く通う自分って凄い
- 「勉強が楽しい」と言っている自分って凄い
- 偏差値の高い学校を受ける自分って凄い
こうやって凄いと感じる自分を演出していくのです。学力が低いことは自分が一番よく知っているので、それを感じさせないようにするために、表面的言動で “すごい自分” を作っていくのです。
兄弟が早慶に行っていることとも無関係ではありません。おそらく家庭内に早慶ムードが形成されており、娘さんも自分もそのゾーンだと思い込んでいる可能性があります。
■学力が上がらず、外面を取り繕い続ける
通常は、自分もいけるという自己肯定感にプラスに働くことが多いのですが、娘さんのようなパーソナリティの子の場合は、学力が上がらない自分が継続されると、それを覆い隠し外面を取り繕っていきます。
「あれこれ勉強のやり方を指摘される自分はすごくない」と思っているので、親の指摘などを受け入れることは滅多にありません。
勘違いしてはいけないのは、このようなパーソナリティは悪いというものではないということです。そのタイプに合わせたアプローチをしなければなりません。 ではアプローチについてお話ししましょう。
■取り繕う子への最善の対処策は過剰に反応しない
子どもが不合格となった場合、たいていの親は、次の2つのいずれかの対応をとります。
【慰め型】
- 「『住めば都』と言ってね、入ってしまえば、その学校がよくなるもんだよ」
- 「でも今まで頑張ってきたから、これから明るい未来があるよ」
【一緒に落ち込む型】
- 「ママもね、昔行きたい学校に合格できなくて、一晩中泣いたものよ」
- 「本当にママもがっかりで、悲しくなってきちゃった」(言葉に出さなくても雰囲気で作る場合もある)
しかし実際は、これらのような語りをしたところで、当の本人には、そんな言葉は耳に入りませんし、心にも響きません。
ではどうすればいいでしょうか。「深刻にならずに、普段通りの日常生活をしていく」だけ。 別の言葉で言えば、「ほっておく」「子どもの様子に過剰に反応しない」とも言えます。
■子どもには自分を振り返る時間が必要
娘さんは「バカだと思われてる。恥ずかしい。明日から学校に行けない」と言っているようですが、それは、言わせておけばいいのです。
もし返答するならば、「あ、そうなの」程度でおしまいで、それ以上の言葉をかけません。それ以上の言葉をかけると事態は複雑化します。
本当に行かなくなるときは、言葉に出せないぐらいショックを受けているため言葉に出ることはありませんから心配ないのです。 なぜこのような対応をするかと言えば、次のような理由があるからです。
子どもは自分のことは自分が一番よくわかっているため、あえて親が何か言う必要はない。それよりも、子どもには振り返る『自分の時間』が必要で、その時間こそが最良の教育になっているからです。
親は心配かもしれませんが、心配しても解決しません。もちろん、「心配しないように」と言われても、そんな簡単に素直に心配しないようにするなんてできません。親ですから心配するのが当たり前です。
ですが、それをあえて可能な限り表に出さないようにするのです。現時点のみを見ると悲劇かもしれませんが、これは「必要で大切な経験」です。過去を振り返って、どうすべきであったかを「考える時間」をあげたほうが効果的なのです。(記事終わり)
■自分を良く見せようと取り繕うお子様は要注意
記事の趣旨は、全落ちした女の子に対して保護者様がどう接するのがよいかの回答ですが、この女の子の受験前の行動が非常に気になったのでご紹介しました。
女の子は、自分の成績は明らかに人気難関校に届かないことが分かっているのに、勉強が好きと公言し、足しげく塾に通っていました。
カウンセリングをした石田先生はすぐに身抜かれましたが、このお子様は理想の自分に陶酔するタイプです。もっと分かりやすくいうと、勉強するのは成績を上げたり、理解力を高めるためではなく、難関校を目指して勉強することに満足しているだけで、中身の薄い勉強をしています。
この状態でどれだけ塾に通ったり、個別や家庭教師をつけても、成績は上がりません。
自分の学力が上がらないことを自覚した上で、行動や言動で成績不振を気付かれないように取り繕うため、保護者様が気が付かない場合があります。周りのお子様はすぐに気が付くようです。
■どの子もほら吹きで見栄っ張りの傾向があります
たいていの子どもは、実際よりも自分のことを底上げして良く言ったり、見せようとします。88点のテストを90点と自己申告したり、こんなに勉強したよ、と言うので内容を確認したら、たいした量をこなしてない経験をお持ちの保護者様もいらっしゃると思います。
ぼんず君も自己肯定の傾向が強いため、上げ底報告はしょっちゅうでした。バレバレの上げ底報告が分かった時に、ウソつき、などと責めると、今度は本当のうそやごまかし、取り繕いをするようになります。
上げ底報告に対する私の対応は、「正確に伝えてね。毎回のテスト結果で、次に何の勉強をするか決めているから、答案と一緒に報告してくれる?」です。
成績が上がらないのに塾に行くのが楽しい、と言われたことはありませんが、通塾を続けても成績が上がらない時は、勉強方法が間違っていると考えるべきです。
お子様の口頭での報告は鵜呑みにしないで、「あれ?」と思う言動や行動がある時は、何か都合が悪い出来事や心の中のことを隠している可能性が高いです。
上げ底報告に気が付いた時は、淡々と対応するのがいちばんです。
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