本日は東洋経済オンラインの記事「中学受験の本質を知らない親に教えたい心得」をご紹介します。著者はプロ家庭教師集団・名門指導会の代表であり、「中学受験は親が9割」「中学受験は親が9割、学年・科目別必勝対策」の著者である西村則康先生です。
記事の内容以上に、記事を読んだ読者が入力したコメントが興味深かったので、合わせてご紹介します。
■軽い気持ちで中学受験を始めるなら止めた方がいい
「中学受験で難関中学に入れれば、東大をはじめとする難関大学への道が近づく」
「大学付属校に入れれば、この先は受験をしなくてすむ」
「だから、今頑張っておけば後がラクになる」
そう考えて、「中学受験」を始める家庭が多いですが、このような気持ちで子どもに中学受験をさせようとしているのなら、今すぐやめたほうがいいです。
なぜなら、今の中学受験は親が思っている以上に過酷だからです。
一般的に中学受験の勉強は、新小4のカリキュラムが始まる小学3年生の2月からスタートします。
しかし、その前に上位クラスで入塾するために早めの入塾テスト対策を取り、低学年のうちから塾通いをさせる家庭も多いです。
4年生では週2日の塾通いも、6年生になると通常授業の他に志望校特訓や模試などが加わり、週5日、ときには毎日塾で過ごすことになります。
塾では問題の解き方は教えてくれますが、勉強の進め方までは個別にフォローはしてくれません。その日の授業で習ったことは、その日のうちに覚えることを前提に進んでいきます。
そのため、知識の定着を図るために塾から大量に出される宿題は、家庭で回していかなければなりません。
■受験成功には親の献身的なサポートが不可欠
小学生が習う内容なんて、親でも教えられる。そう思っている人は、ぜひ難関中学の過去問を見てください。中堅校の問題であっても、多くの親は容易には解けないはずです。
今の中学受験の入試問題は、それほど工夫が凝らされ、難易度が高いです。 加えて、受験に不可欠なスケジュール管理も子どもの力だけではできません。
親の献身的なサポートがあってはじめてうまくいくというのが、中学受験の最大の特徴と言えます。
早くから中学受験を意識してきた家庭でも、「ここまで大変とは!」とその過酷さを思い知らされることになります。だから、中学受験をするなら、親も子も「覚悟」をもって臨まなければなりません。
■レベルの高い同級生と授業が難関中の魅力
今の時代、東大や京大、国公私大医学部などの難関大学の合格者は、上位の私立中高一貫校出身者が多くの割合を占めているという現実があります。
ほとんどの私立中高一貫校の場合、高2の段階で高校で習うすべての範囲を終わらせ、高3の1年間を受験勉強に充てることができるカリキュラムが組まれています。
レベルの高い私立中高一貫校に入れば、レベルの高い子ども達に囲まれて、レベルの高い授業が受けられます。 しかし、そこで力を発揮するためには、さらに努力をする必要があるのです。
それができる子ども達が多く集まるからこそ、「難関校」は結果的に難関大学への進学率も高くなるわけであって、そうした土台をつくるものとして中学受験があると言えます。
■優れた環境で身に付けた知識が子どもの可能性を広げる
レベルの高い中学に進むことの目的とは、
- さらに高度で意味のある勉強をして知識を身に付けること、
- 受験勉強の過程で学習の仕方を学ぶこと、
- そして人間として成長するためであり、
「いい大学へ入るため」ではありません。
- 中学・高校、そして大学を通じてしっかりとした知識や思考法を身に付けて、社会に出してあげるためです。
レベルの高い学習ができる環境で身に付けた知識や考え方は、子どもの可能性を大きく広げてくれます。
だから、小学生の子どもに受験勉強をさせるのは、決して「かわいそう」なことではありません。そして、正しく勉強すれば、努力の先にある喜びを得ることができるのです。
■中学受験のメリットとデメリット
受験勉強は、目標に向かって努力をする、計画を立てて実践していく、難問に粘り強く挑戦する、自分の気持ちをコントロールするなど、様々な経験をすることができます。
勉強自体は志望校に合格するためのものですが、たとえ合格できなくても、実社会に出てから必要なもの、どんな仕事に就いても必ず役に立つものがたくさん詰まっています。
つまり、目的を叶えるために今何が必要なのかを考えて努力できる人間になります。これが一番大事なことではないでしょうか。
しかし、それは「正しい方法」で挑戦した場合にあてはまります。
勉強のやり方や親の言い方が間違っていたら、ときには子どもを押しつぶしてしまうこともあるし、親子関係や夫婦関係が険悪になってしまう可能性もあります。
また志望校に合格できなかった時、子どもに不必要な挫折感だけを残す場合もあります。中学受験には功罪の両面があることを知っていただきたいです。
●コメント欄からの抜粋
①2020年の大学入試制度改革を踏まえて、グローバルスタンダードな教育を目指すゆえに、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングといった能力が求められます。しかも英語で それが中学まで降りてきているのです。
②今は変革期であり、過去の経験が通用しません。
③どれだけ勉強しようが、どれだけ良い(と世間で言われる)学校に入ろうが、『安泰』なんてない。
④中学受験に適性があって、正しく中学受験を乗り越えた子供は、全く可哀想でもなけれは、無駄なプロセスでもない。きちんと自分に合った学校で、きちんと自分に釣り合う仲間と切磋琢磨できる、最高に幸せな時間を過ごすことができる。
⑤某有名難関校の実話。 入学できても、難関な授業やクラスメートみんな優秀児たちであることについていけず、心が折れて不登校になり退学者が多く、高校から受け入れる入学者は、中学で退学や転校した人、エスカレーターで高校に行くのをやめた人たち(言葉は乱暴ですが、多くは脱落しちゃった子)で空いた欠員人数だと聞きました。
そんなにいるのか、と…。 さらなるステップアップや価値観変更としての退学や転校ならいいですが、不登校になってしまう子供の多さに、つらい思いをしてる子供たちが世の中にたくさんいると思うと、その親も子も可哀想でならないです。
子供だって親だって、そんなつもりじゃなかったはず…。 まだ幼い我が子は、難関校に行ってくれなくていい。中堅辺りを目指そうと思いました。
読者のコメント欄には「(記事の)趣旨がはっきりしないのでイライラする」という書き込みがありましたが、私はこの記事は中学受験の本質を的確に突いた内容だと思います。
自分の意見を追記する必要もないくらいに、中学受験の功罪がコンパクトにまとめられています。
特に大切だなと思った内容は記事の見出しにしましたが、再度箇条書きでまとめます。
・中学受験は始める前に想像する以上に過酷で、軽い気持ちでやらない方がいいこと。
・志望校合格には保護者様のサポートが不可欠。特に、その日に受けた授業内容はその日のうちに理解を終える自宅学習が必須であること。
・難関中は優れた同級生や先取り学習を始めとする質の高い授業を提供してくれるが、必ずしもいい大学に入ることだけを目的としていないこと。
・中学受験は、正しい学習方法で挑戦する必要があること。
コメント欄もうなる内容が多かったです。③と⑤は表面には出てきにくい学校の一面です。特に、⑤の内容は私も見聞きしたとしても、さまざまな理由でこのブログでは触れないでしょう。
低学年の保護者様で、上記の箇条書きを理解された上で小3あたりから通塾を開始すれば、極めて有利な展開が期待できます。記事内にある「正しい学習方法」は西村先生もさすがに教えてくださらないですね(笑)
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