■発達障害児の数が増加している理由
本日は幻冬舎ゴールドオンラインの発達障害に関する連載記事をご紹介します。
2018年から2019年末にかけて20回の連載記事が掲載されましたが、ここでは第14回と第15回の内容を抜粋してご紹介します。 筆者は株式会社コペル 代表取締役の大坪 信之氏です。
発達障害に該当する子どもの数が増加しています。増加の背景には、発達障害の診断基準が変更されたこと、2005年に発達障害者支援法が施行されたことにより、教育関係者に発達障害が広く知られるようになり「落ち着きのない子」の保護者に対して「発達障害の可能性があるので病院を受診してみてはどうか」と勧める先生が増えたこと、自分の子どもに育てにくさを感じる保護者がネット検索で得た情報をもとに病院診察する機会が増えたことなどが推測されます。
これ以外に日本特有の要因として、社会の許容範囲が狭くなったということもあります。
子どもに対して社会がおおらかだった時代に比べ、おとなしくできなければADHDなのではないか、などと疑いの目を向けられてしまう傾向が強くなったことが挙げられています。
■発達障害の定義
発達障害の特性を備えていたとしても、社会で生きていくうえで困りごとがなければ、それは「個性」であって「障害」とはされませんが、発達障害をもつお子様は、学校や社会において「生きづらさ」を感じることは少なくありません。
「発達障害」という言葉は、一体何を指しているのでしょう。
2005年に施行された発達障害者支援法では、次のように定義されています。
「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
つまり法律上の定義では、「発達障害」は個別の疾患を示す言葉ではありません。
「発達障害」について論じられるときに、主な障害とされるのは、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の三つです。
■発達障害の要素は誰にも多少はあります
◎自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 他人との関わりやコミュニケーションの困難さ
- 常同行動、こだわり
◎注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 注意を持続することの困難さ
多動性、衝動性 ◎学習障害(LD)
- 文章の読みだけが困難
- 文章を書くことだけが困難
- 計算だけが困難
自分の身近な人を思い浮かべたときに、当てはまる人がいると思ったかもしれません。
実は、誰しも多かれ少なかれ自閉症的な要素を持っているとされています。定型的な発達をしている人と発達障害とされる人との間は、境目のないグラデーションになっています。
自閉症スペクトラム障害とされるかどうかは、要素の有無ではなく程度の問題で、社会的に生きづらいレベルのものを「障害」としているに過ぎません。(記事終わり)
■ぼんず君は妙なこだわりの強い子でした
育てにくいお子様に対して「もしかして、うちの子は発達障害では…」と思われたことのある保護者様は少なくないと思います。
我が家のぼんず君もどちらかと言わなくても非常に育てにくい子で、連載第14回目の記事にある診断基準のにあてはまる行動がいくつもありました。
具体的には、
- 自分の気持ちを伝えたり、相手と分かち合ったりすることをあまりしようとしない
- ほかの子どもが興味を示さないようなものや、非常に細かい特定の物事に対する強いこだわりがある。
- 事柄や順序を整理して話すことが苦手で、「いつ」「どこで」「だれが」などを抜かして話すことがある。
- 会話が一方的で、話題がとびやすい。
などです。
■人との関わり方で私が言い続けていること
6年生になるよりもだいぶ前に一度、専門機関でぼんず君を診てもらったことがあります。
その時に言われたことは、「たしかに頑固な面やこだわりが強い部分はありますが、発達障害というよりは小学校の同じクラスのお子さん方との学力の差が大きすぎるので、小学校にいるのがやや辛いのではないでしょうか。」という内容でした。
小学校時代も中学校入学後も、ぼんず君に対して私が一貫して言い続けていることがあります。
それは周りの方に嫌な思いをさせたり、不快な気持ちになるようなことをしないこと。
どれだけ成績が良くても、有名な学校に通っていても、自分の周りの人を嫌な気持ちにさせたり、傷つくことをする人間は、世の中で生きていけないよ。とうるさく言い続けています。
傷つけるとは必ずしも身体的なケガだけではなく、心の傷も含みます。
■第三者からの指摘はありがたく受け止める
もし今、お子様が周りの同級生や塾生と良好な関係を築けない場合、または同じ年齢の子から敬遠されて友だちができないとお悩みの場合は、もしかすると発達障害の可能性が考えられますので、一度専門機関にご相談されることをおすすめしたいです。
その上で、お子様には
- 自分がされて嫌なことは人に言わない、しないこと。
- 言いたいことを主張する前に、人の話を聞くこと。
- 挨拶、お礼、お詫びをきちんと言うこと。
を繰り返し伝えていただきたいです。もし、他の保護者様や学校の先生から苦情や注意を受けた場合は、お子様の言い分を聞きながらも、よそ様からの指摘にも学ぶことがあると謙虚に受け止めて、改善のきっかけにすることが大切です。
■良好な人間関係を築けることの重要性
公立小学校でうまくいかないからと私立中学への進学を検討されても、私立中学校でも同じ問題を繰り返すことになるかもしれません。
私立中学校は公立中学校よりも体裁やメンツを重んじるために、同級生との摩擦や軋轢が目立つと、場合によっては学校に在籍することが難しくなることも考えられます。
保護者様の役割は、中学受験を成功させることと同じくらいに、お子様に社会生活を営む資質を持たせることもあります。
お一人で抱え込まずに、私のようなネット上の素性の分からない存在ではなくて、専門機関、医療機関、公的機関などに躊躇しないで相談していただきたいです。プライバシーは保たれます。
公的な相談機関への申し込み件数は多いために、場合によっては半年以上待つこともあります。具体的な連絡先をここに載せることはできませんが、ネット検索で比較的簡単に見つけることができます。
小学校に相談するよりは、専門機関への相談をおすすめします。
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