医学部合格者数関西1位女子校教師の証言「女子が理数系を苦手なのではない」

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中学受験_記事紹介

本日は、現代メディアオンラインの記事「医学部合格者関西1位女子校教師の証言『女子が理数系を苦手なのではない』」をご紹介します。

著者は、2019年9月刊行の「21世紀の男の子の親たちへ」に続いて、2020年5月に「21世紀の女の子の親たちへ」を出版した教育ジャーナリストおおたとしまさ氏です。

「男の子」編と同様、女子校の名門の先生方に話を聞いた上で、おおた氏が「今」にアップデートした「女の子育児」についてまとめた1冊です。 登場する先生方は桜蔭、鴎友、吉祥女子、神戸女学院、四天王寺、品川女子、女子学院、洗足学園、豊島岡女子、ノートルダム清心、雙葉と、日本を代表する名門校の教諭ばかりです。

新書発売を記念して、本書より特別抜粋内容で記事は構成されています。

■男子よりも女子の学力が高いのは世界共通

OECD(経済協力開発機構)は3年おきに国際的な学力調査PISA(学習到達度調査)を実施しています。PISAは「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3部門で行なわれますが、結果を男女別で見比べると「読解力」においては、すべての参加国で女子の平均点が男子の平均点を上回っています。

女の子のほうが国語の成績がいいことは、日本の受験勉強でも経験的に知られている傾向だと思います。中学受験の模試を実施する業者の分析によれば、中学入試問題でも男子校より女子校のほうがより複雑な読解問題が出される傾向にあることがわかっています。

逆に理数系は男子のほうが得意だという印象があるかもしれませんが、少なくとも科学的リテラシーにおいてはほとんど男女差はありません。OECD全体の平均点を見ると、2018年調査では初めて女子の成績が男子を上回りました。

数学的リテラシーに関しても、読解力の男女差をひっくり返すほどの男女差はありません。つまりトータルで見れば、女子のほうが勉強ができるというのは全世界的な傾向なのです。 

■イスラム圏で女子の理数力が高い理由

さらにPISAのデータを細かく見ると大変興味深いことがわかります。2018年の科学的リテラシーの男女差データを見ると、女子のほうが成績が良い国・地域の上位は、1位カタール、2位ヨルダン、3位サウジアラビア、4位アラブ首長国連邦、5位フィンランドと、イスラム教の国・地域が上位を占めるのです。

イスラム教の国・地域では男女別学が基本です。つまりこれらの国・地域の女子はみんな女子校で学んでいます。そうすると、科学的分野においても女子のほうが成績が良くなるのです。

一方で、5位にフィンランドが入っていることからもわかるように、ジェンダー・ギャップの小さい国・地域ではやはり女子の科学的リテラシーが高くなる傾向があります。

これらのことから推測すると、男女平等でない社会の共学環境では、女子は科学や数学の力を十分に発揮できていない可能性があるのです。

■男女別学の方が女子の能力を伸ばせる可能性

考えられる理由は2つ。 1つは、男女共学の環境で、女子は国語、英語、音楽などが得意であることが期待され、逆に理科や数学は苦手であると思い込まされやすいこと。性別による社会的偏見が共学の教室の中で再生産されている可能性があるのです。いわば「共学のパラドクス」です。

実際海外での複数の研究で、男女別学校の生徒のほうが教科に対する「女らしい」「男らしい」という固定概念にとらわれにくいことがわかっています。

もう1つは、女子校においては女子の特性に合わせた教育が行なわれている可能性です。素人が見てもなかなか違いがわからないのですが、女子校の先生たちは女子には女子の教え方があると口をそろえます。

たとえば、女子はプレッシャーに弱く競争を嫌う傾向にあり、男女混合の競争的な教育環境が心理的な意味で女子に不利に働いている可能性が複数の研究で指摘されているようです。もし日本の学校の競争圧力が低下すれば、これからの時代はますます女子の成績が向上する可能性があります。

■四天王寺中学・高校の先生の言葉をご紹介します

「男の子は多少突き放すくらいの距離感が良いといわれていますが、女の子は共感して寄り添って安心感を与えてあげないとなかなか力を発揮できない傾向があると思います。大人数の前で先生が講義して『あとは自分でやれ』みたいに突き放すような従来の日本型の教育では、女の子がついてこない」四天王寺高等学校・中学校の稲葉良一先生)

だとすると、これからは女子も男子と伍していかなければいけないと考えた父親が、自分が育てられた感覚で娘を厳しく育てようとすると、娘の可能性をつぶしてしまうおそれもあるということです。

昔から「獅子はわが子を崖がけから突き落とす」などと言われますが、それはもしかしたら男の子向けの教育方針かもしれません。

「よくスパイラル型のカリキュラムってありますよね。それぞれの単元を完全に理解していなくてもとりあえず先に進んで、何度もくり返すことで定着させていくという。

でもこれも女の子には全然ダメです。もちろん個人差が大きいですから、なかには男の子と同じようにできてしまう子もいるのですが、現場で教えている感覚から言わせてもらえばそういうタイプの女の子は1割いるかいないかですね」(四天王寺 中川章治先生)

■女子校の方が理系選択者が多い

課題の進め方にも男女の違いが見られるようです。意外なことに、女子のほうが締め切りに遅れる傾向があるといいます。男子のほうが期日までに終わらせますが、成績は必ずしもよくありません。期日を守っている女子は成績がいいです。

「男子は適当でもいいから終わらせようとする。女子は中途半端に終わらせることができない」との分析でした。

女子校は社会の中で例外的につくられた性差がない空間で、「女だから」「男だから」という意識から解き放たれます。女子校では総じて理系選択者が多いです。女子だけで学んでいればそれだけでも自然に女子の学力がそれまでとは違った伸び方をするのだろうと考えられます。

その意味では、女子校に通わせることに大きなメリットがあるように感じられるでしょう。 でも現実的には共学校に通う女子が大多数です。全国の高校に占める女子校の割合はたったの6.1%です。

もし女の子が学校の理科や数学の試験で芳しくない点をとってきたときは、その子が理数系が苦手なのだとレッテルを貼るのではなく、指導方法が合っていないだけかもしれないという可能性を疑い、それを克服する方法を個別に考えてみるといいでしょう。

くれぐれも「やっぱり女の子は理数系が苦手なのね」は禁句です。(記事終わり)

■優秀な女子はどんどん理系に進むのが今の時代です

現代メディアの元記事を読んで最初に思い出したことは、以前に私が教育関係者の方に「最難関中学を目指して合格した女子は、入学後どうするんですか?」と質問したことです。昨年5月に記事でご紹介したことがあります。

「何を言ってるんですか。お母さん(私のことです)」と私のズレた質問を注意されつつも、その先生は最難関中学を合格した優秀な生徒さんは男女差なく熱心に勉強を続けて、理系の道に進む方が多いことを説明されました。

女性が理系に進む、医学部を目指すと聞いて、一瞬頭に空白ができる私は昔ながらの先入観や思い込みがあるといえます。男子は理系、女子は文系という思い込みです。

今はもうそういう時代ではありません。私の歴代主治医の先生は女性の方が多かったです。病院での緊急時の対応や思い切った決断・判断能力に男女の差は全く感じませんでした。

学校の勉強は男子よりも女子の方が優秀な方が多いのも事実でしょう。私がぼんず君に男子校を勧めたのは「男子の中で伸び伸びと勉強させたい」という気持ちもあります。西大和学園は男女共学ですが、中学校入学後しばらくの間は男女別授業であるのは非常に理にかなったシステムだと思います。

■勉強と体力維持の両方を頑張ってほしいです

最近の関西圏は、男子校から共学になった学校の女子の難易度が急上昇しています。

私は古い人間なので、私立中学については男子は男子校、女子は女子校がよいという考え方です。理由は本日ご紹介した記事のとおりで、その方が双方の学力を伸ばせるからです。

日本では学歴は通用しないという意見もありますが、大学の重みは依然として有効です。出身大学によってそこで出会える友人や先生は大きく変わってきます。見える世界も全く異なります。

成績が良ければ、それだけ選択の幅が広がります。せっかく私立中学・高校に進学するのであれば、難関大学に合格してほしいです。

今10代のお子様がこれからどうなるか分からない世の中を生きるためにも、最低限の勉強をしておくと「芸は身を助く」ではありませんが、一生自分自身を助ける道具として役立つはずです。

私立中学に進学したいと思われた女子のお子様なら、勉強の重要性はすでにお気づきだと思います。女子が男子に勝てないことの1つは「体力」なので、空き時間に運動しながら勉強も頑張ってください。

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