[記事紹介]「超難関校」の入試問題に起きている大変化

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中学受験_記事紹介

本日は、プレジデントオンラインの記事『開成、桜蔭、女子学院…「超難関校」の入試問題に起きている大変化』をご紹介します。著者は、プロ家庭教師集団・名門教育会の代表、西村則康先生です。


 

■大学入試改革の影響が中学入試にも

今年の大学入試から始まった「大学入学共通テスト」が中学受験にも影響を与えつつあります。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康氏は「大量暗記が中心だった中学受験が、思考力や記述力を問うものに変わってきている」といいます。

2021年度からの大学入試改革の背景には、AIの進化や急激に進むグローバル化など、近年の日本を取り巻く社会環境の変化があげられます。そんな大学入試の動向を固唾をのんで見守っていたのが、私立中高一貫校です。

もともと麻布中や栄光中といった一部の難関校では、思考力や記述力を求める問題を出題していました。それがここ数年、同じ難関校でも知識量や処理能力の高さを重視していた学校が、思考力や記述力を問う入試問題へと舵を切り始めています。

たとえば開成中の理科入試は、これまでは知識型で難関校の入試のわりには簡単と言われていました。ところが、昨年度の入試では、統計の処理が必要な問題が出るなど、判断するための材料を自分で整え工夫する力が求められるようになりました。

また、医学部進学が多い、女子最難関校の桜蔭中の算数入試は、膨大な量の問題をいかに早く正確に解けるかという処理能力の高さが求められていましたが、ここ2~3年で思考力を問う問題も見られるようになりました。同じく女子難関校の女子学院中の国語入試ではこれまで記述はほとんどありませんでしたが、昨年度の入試では表現力を問う記述問題が出題されました。

■思考力や読解力が問われる出題傾向へ

こうした変化の背景には、やはり大学入試改革の存在があります。集団授業を基本とする大手進学塾を中心とした今の中学受験では知識やテクニックの指導になってしまいがちですが、近年、家庭教師として受験指導をしていて感じるのは、塾が指導している内容と実際の入試の中身が乖離かいりしていることです。

多くの受験生は、大手進学塾の指導の下で受験勉強を進めていくと、大量の暗記やパターン学習が身についてしまい、今の時代に必要とされる思考力や判断力、記述力を養うことが難しいです。 一方で学校が求めるのは、それらの素地を持った子供たちです。なぜなら、そういう子は物事に対して興味・関心を持ち、自ら考え、学ぶ姿勢が備わっており、新しい大学入試では強いからです。

これからの中学受験に思考力や記述力が求められるようになることは、塾側ももちろん分かっていますが、これまでの指導をガラリと変えるのは、現実的に難しいです。それならば、どのように受験対策をしていけばよいでしょうか?

■従来の暗記重視から学習方法の見直しを

一番の方法は勉強の取り組み方を変えることです。

従来の受験勉強は、塾から教えられた知識やテクニックをくり返し覚え、大量の問題を解くことで、頭にインプットしていました。しかし、これからの入試はその知識をもとに因果関係を説明させたり、過去の経験と照らし合わせて表現させたりするといった思考型や表現型の問題に変化していくでしょう。

子供は自分が経験したことや実感したことがなければ、思考をめぐらせたり、自分の考えとして表現したりすることができません。そういう点においては、これからはますます幼児期の過ごし方が重要になってくるでしょう。早期教育に走るのではなく、身体を使った遊びや、視野の広がる経験、語彙ごいを広げる家族の会話を大切にしていただきたいです。それらが思考力や表現力を育む土台となるからです。

実際に受験勉強が始まったら、学び方を間違えないことです。入試のスタイルが変わっても、受験に必要な知識量が大幅に減ることは考えにくいので、なんとなく覚えたつもりの知識は、家でまたくり返し学習しなければなりません。そうなってしまうと、これまでの受験勉強のやり方から脱することは難しいです。

思考力や表現力を伸ばすには、子供自身に勉強の工夫をする余裕を持たせることが大事です。そのためには、「なぜそうなるのか?」(原因)、「だったら、どうなるのか?」(予測)を意識しながら、納得して覚える習慣を付けることだ。そこをしっかり意識して学習すれば、無駄に大量の宿題をやる必要はないでしょう。

また、「考えることは書くこと」を徹底させていただきたいです。思考を整理するのは、書くことが有効です。中学受験でこうした学び方を身につけておくと、その先の大学受験はもちろん、社会に出てからも活用できます。

これからの中学受験で大切になってくるのは、「何をやらせるか」ではなく、「どのように勉強をするか」。大量パターン学習が身についてしまった中学受験が、これを機会に大きく変わることを期待しています。(記事終わり)

■暗記もしつつ、総合力も付けるには…

2021年関西地区中学入試の問題は、ウェブで公開されている灘(算国理)、西大和(算理)、大阪星光(算国理社)の問題しか確認できておりませんが、前年と比べて多少の変化が見られます。

ざっくりとした感想ですが、上記記事と同様で、思考力がないと解けない問題や(大阪星光の社会:私が作成した「教科書まとめ教材」をご購入下さった星光受験生には大いにお役に立てたと思うのですが、いかがでしょうか)、記述問題が増えている(灘の国語)印象があります。

大学進学実績を上げるために、ある程度素養のあるお子様を選抜する中学入試問題を作成すると言っても、解くのは小学6年生です。問題を高度にするには限界があるでしょうし、1回の入試でお子様のすべての力を判定するのは難しいです。

灘中のように処理能力と思考力の両方を判断する問題構成(2日入試だから成り立つのかもしれません)や、東大寺学園のように大人でも考え込むような難易度の高い国語の記述問題(特に物語文)、どーんと大きな記述欄を設けて、さあ書いてもらいましょうという算数の問題、知識に加えて、読解力と思考力を要する社会の問題(おそらく国内の中学入試でいちばん難しい問題構成)の方向に進んでいくのではないかと思います。

ただ、思考力と言っても、知識があってこその学力であることに変わりはありません。手際よく暗記学習をこなしつつ(インプット)、記述や読解、思考力の醸成を日々の学習と併行すれば、出題傾向がどのように変化しても入試に対応できる力がつくのではないでしょうか。対策として有効なのは、ご家庭での過ごし方に尽きると私は思います。詳しい話は別の機会にまとめてみます。

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