■難問対策といえば「中学への算数」のイメージ
東京出版から発行される月刊誌「中学への算数」という雑誌があります。中学受験を目指すお子様や保護者様であれば名前を耳にしたことがある本でしょう。すでに毎月定期購読されているご家庭もあると思います。
最難関中学校に合格した生徒さんの合格体験記などでの「中学への算数の問題を解きました」というコメントや、算数専門塾や家庭教師の先生からの推薦などから、実際に雑誌を購入したことのある最難関校志望のお子様もいらっしゃると思います。
しかしながら、初めて「中学への算数」を購入した翌月以降も毎月定期的に購入するご家庭は多くはないと思います。定期購読を申し込んでしまったものの、雑誌を活用できずにほぼ新品のまま保存し、雑誌だけがどんどん増えていくケースもあります。
我が家は中学受験で「中学への算数」をうまく活用できなかったケースに当てはまります。まず書店で雑誌の中身を私が確認して、「これは最低でも5年生からでしか活用できないな」と思い、5年生の始めにしばらくの間購入しました。ぼんず君はぱらぱらと眺めるだけで、問題を解くなどの前向きな姿勢は見られず、購入はそれきりになりました。
■我が家は「中学への算数」を使いこなせませんでした
ぼんず君は5年生から6年生にかけて算数の成績が急上昇したので、「今なら中学への算数を使いこなせるかも…」と思い、6年生の始めから再度購入を始めました。今回はただ購入するだけではなく、巻末の学力コンテストの問題も解いてもらって応募しました。
初めて提出した学力コンテストの結果はめまいがするような点数でした。3カ月ほど応募を続けましたが、ぼんず君には「中学への算数」はまだ早いと判断して、購入を中止。以降は中学受験の勉強で「中学への算数」は使いませんでした。
小学6年生時のぼんず君の算数の成績は決して悪くはなかったですが、それでも「中学への算数」はさっぱり使いこなすことができませんでした。今から考えると、「中学への算数」を活用できなかった理由がいくつか浮かんできます。
■「中学への算数」を活用できなかった理由
- 掲載問題の難易度が高すぎた。
- コラムや解説をじっくり読んでいなかった。
- 学力コンテストをじっくり取り組む時間がなく、解けない問題が多かった。
- 親からやらされている意識が強かった。
こんなに役立つ情報が満載の「中学への算数」を使ってなぜ勉強しないのか?と、6年生のぼんず君にイライラした時期もありましたが、購入を止めても算数の勉強に大きな支障はありませんでした。
中学生になってから「高校への数学、買っといて」と唐突に言うようになり、雑誌を渡して放っておくと、隅から隅まで雑誌を読むようになりました。そのうち、「学力コンテスト応募しといて」と学力コンテストの問題4問を解くようになり、返却答案や採点ご担当者からのコメントを楽しみに待つようになりました。
小学生時代と比べて中学生時代は時間的な余裕があり、数学の演習量や知識が増えて学力が向上したこともありますが、「高校への数学」は自主的に、そして楽しそうに雑誌を活用しています。数学の勉強が楽しい、難しい問題の解法を考えてみたい、という気持ちがあって初めて、数学の難問に挑戦するスタートラインに立てることがよく分かりました。
■「中学への算数」を難問対策に使う場合
「中学への算数」は、中学受験関連の算数教材の中で最も難易度が高い問題が扱われる書籍です。「中学への算数」を使いこなすにはお子様に2つの要素が必要だと思います。
- 掲載問題の半分以上を自力で理解し、解くことができる学力
- 算数の難問に挑戦しようという前向きな気持ち
1の必要な学力があるかを判断する1つの目安は、学力コンテストの問題を自力で解けるかどうかです。4問のうち最低でも2問以上を正解できる力が必要です(答案を埋めるだけではなく得点する力です)。
学力コンテストの問題を見ても解法が全く浮かばなかったり、手が完全に止まるのであれば、「中学への算数」を使うのはまだ早いかもしれません。
学力コンテストの問題が4問とも解けなくても、お子様が自発的に「中学への算数」で勉強したいと主張されるのであれば、ぜひ購入してあげてください。雑誌を本棚に並べるだけで満足しているなら購入する価値はありませんが、毎号のコラムや単元ごとの問題・解説を読んだ上で、自分なりに解いてみようとする姿勢があるなら、完璧にできなくてもいいので学力コンテストに挑戦させてみてください。
学力コンテストの結果が思わしくない場合でも、翌月以降も続けたいとお子様が希望するのであれば、ぜひ雑誌を購入して、学力コンテストへの応募も続けてください。雑誌を隅から隅までしっかり読んだ上で学力コンテストへの応募を続ければ、半年以内で50点以上は取れるようになります。
■「中学への算数」にこだわる必要はありません
大手進学塾の算数のカリキュラムをしっかりと学習すれば、ほとんどの中学校の入試問題を解く力は身に付きます。浜学園であれば、マスターコースで上位クラスに所属し、小5で最高レベル特訓算数を受講して、小6でマスター+志望校別特訓を受講するだけでも膨大な勉強量です。
難易度の極めて高い中学が志望校であれば、灘中合格特訓や志望校別特訓N灘コースに所属することで受験対策ができます。
「中学への算数」の学力コンテストの問題が全然解けないからといって、必ずしも悲観的になる必要はありません。特に6年生は、学力を大きく超える難問対策で無駄に時間を費やすよりは、志望校の過去問をきちっと解いていく方がはるかに効果があります。
我が家のように「中学への算数」は難しすぎて購入を止めた後、「高校への数学」を自力で勉強できるようになった例もあります。
受験勉強は、入試本番で1点でも多く得点するための技を身に付ける練習の積み重ねです。一方で、問題の「なぜ?」「どうして?」を探求したり、別の解法やより美しい解法を追求することを「楽しい」と感じるお子様もいらっしゃいます。こういうお子様こそ「中学への算数」向きで、力のある指導者の下で思考を深めていけば、初見の難問に対しても逃げずに立ち向かう力がつくのだろうな…と思います。
お子様の前向きな資質と力のある指導者と適切な教材の3つが揃った時に、奇跡が起こることもあるのでしょう。そういう指導のできる先生とのご縁を持ちたいものです。
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