本日は、東洋経済オンラインの記事「末の娘も東大合格!「佐藤ママ」の意外な教育「3男1女」全員東大でも、勉強法はそれぞれ」をご紹介します。記事は佐藤ママのお子様、特に女子のお子様の大学受験時の話が中心で、中学受験を目指すお子様や保護者様に一見関係しない内容のように思えます。
それでもこの記事をご紹介するのは、記事の中に男の子と女の子の勉強方法で異なる点の描写がされているからです。その内容は大学受験を目指す高校生でも、中学受験を目指す小学生高学年のお子様でも、大きな違いがなく、とても参考になる内容です。
■女子の受験準備は早めが肝心
娘は末っ子でのんびりした性格です。息子たちと同様に長女も1歳ごろから公文を始め、中学受験では浜学園にお世話になりました。
大きな違いは、息子たちより大学受験の準備を早く始めたこと。息子3人は東大に強い鉄緑会という塾に中学3年か高校1年のときに入塾しましたが、娘は中学1年から通わせました。 女の子の大学受験は早め早めが肝心です。
三男一女を育ててみて、男の子は雑だけど速く、女の子は丁寧だけど遅いという特徴があると思いました。ノートのとり方や復習の仕方が違うのです。娘はきれいにノートをまとめ、テストの見直しなども隅から隅まで時間をかけてきっちりやりきるタイプでした。
どちらの特徴が受験に向いているかといえば、男の子のほうなのです。なぜなら、人間は忘れるから。丁寧にやったからといって一度で覚えられるわけではなく、受験勉強は重要なところを何度も繰り返して、数をこなすことが重要なのです。
■体力で追い上げる男子と競うことを女子は考慮
さらに、男の子は体力もあって、直前の猛勉強でぐんぐん成績を伸ばします。受験はそういう男の子と競うわけですから、女の子は早めに受験勉強に取り組むべきなのです。
実は、長女は頑張りすぎたのか、高校2年の2月に体調を崩して、高校3年の4月はほとんど学校に行けませんでしたが、ゆっくり休んでいたら体調は回復し、5月中旬には元気になりました。
高3という大事な時期にゆっくりと休みながらも現役合格できたのは、中1から鉄緑会に通い、進度が早いカリキュラムで勉強していたからだと思います。やはり、女の子は早め早めが「正解」でした。女の子はまじめなので頑張りすぎにも注意してほしいと思います。
■勉強方針の違いで意見が合わないことも
娘の受験期で忘れられない出来事といえば、高3の夏の”冷戦”です。夏休みに2日間、娘と口もきかない大げんかをしました。 原因は塾の夏期講習でした。
3人の息子たちは、素直に私の言うことを聞いて、夏期講習には行かずにひたすら家で模試の過去問を解きました。ある程度力がついているならば、夏期講習を受けてインプットするよりも、予備校の東大模試の過去問題を解くアウトプットをしたほうがいいと私は思っています。また、娘は春先に体調を崩したので、暑い夏に塾通いで体力を消耗しないように、息子たちと同じ方法を勧めたのです。
しかし、娘は夏期講習に行きたいと主張。「ママは自分のやり方でたまたま成功したかもしれないけど、私は私。同じようにはいかないのよ」とまで言ったのは、私も「はぁ? 何言ってるの?」と思いましたね。
当時、息子たちはすでに進学で家を出ていたので、昼間、私と娘はつねに2人きり。息抜きに外出したかったのかもしれませんね。女同士の反発もあったかもしれません(笑)。
後からわかったのですが、娘はまだ体調が万全ではなく、得意な数学の調子も戻らなかったので、不安だったらしいのです。だから、夏期講習を受けたかったそうなのです。 幸い、東京に住む息子たちが電話で娘に「ママのおかげでうまくいった。今は言うことを聞いたほうがいいよ」とアドバイスしてくれました。
一方で娘の気持ちも考えて、「2日間だけ夏期講習に行く」という折衷案を提案してくれたので、そうすることにしました。 その結果、秋の東大模試では、成績優秀者に名前が載り、娘は「ママの言うとおりにしてよかった」と言ったので、私は「ほらね」と返し、めでたしめでたしでした。
■日常すべてが楽しかった幸せな受験生活
受験までの持ち時間は男の子でも女の子でも同じ。時間は無駄にはできません。けれどもそこで怒ったりはしませんでした。髪を切れば洗髪にも時間がかからなくなるでしょう。でも「切りなさい」とは言いませんでした。娘の気持ちもよくわかったからです。
それで私は、娘の気持ちを尊重しつつ、勉強する時間を確保するために、高校3年の10月ころからは私が娘の髪を乾かし、その間に娘は英単語や古文単語のチェックをしました。センター試験まであと1カ月半ほどとなった高3の12月からは、一緒にお風呂に入り、髪の毛を洗ってあげることにしました。「洗ってもらうと楽~」と喜んでいましたよ。
今、娘は実家を出て三男と東京で暮らしています。夏休みでも部活や友人との旅行で忙しく、奈良の実家にはなかなか帰ってきません。青春を謳歌している娘は、7月に出た新刊本にこんなコメントを寄せてくれました。
「母がいつもそばにいてくれたので孤独を感じず、大学受験までがんばることができました。母はいつも元気で明るかった。奈良で暮らしていたときは、家族の日々の会話など日常生活すべてが楽しかった。『幸せな18年間だったなぁ』ってつくづく思います」
私も子育ては我慢した18年間ではなく、子どもといるのが本当に楽しい時間でした。子育ての目標は子どもの笑顔。18年間育てさせてくれて本当にありがとうという気持ちでいっぱいです。これからは、自分自身の道を見つけた4人の子どもたちを遠くから見守っていきたいと思います。(記事終わり)
■男女問わず、受験は先手必勝がポイントです
オリジナルの記事はそれほど長文ではありませんが、参考になる箇所が多く、「へー」「そのとおり!」と一人で相槌を打ちながら記事を読みました。
中でもいちばん共感した箇所は、「受験は早め早めが肝心」です。冒頭に「女の子の大学受験は」とついていますが、男女問わず、また大学受験に限らず、受験は早めに準備して、早い時期(5年生半ば頃:それより早い時期に前に出てもあまり有意に働きません)に前に出て、あとは逃げ切ることが少ないトラブルで受験を終えるコツの1つではないでしょうか。
「体力のある男子は直前の猛勉強でぐんぐん成績を伸ばします」と記事にはありますが、ある程度以上の成績のお子様は全員、直前の猛勉強を行いますので、上位1/3のメンバーは大きく入れ替わることはありませんし、大どんでん返しな順位の変動がみられることもあまり多くありません。
時々、6年生の秋以降に怒涛の勢いでごぼう抜きしていく男子のお子様を見かけますが、割合でいうと少数派だと思います。
もう1つは、男女でのノートの取り方や復習の仕方の違いです。特に算数で顕著ですが、何が書いてあるのか読めない答案をご覧になられたことはありませんでしょうか? 数字?記号?何が書いてあるかわからない答案や浜ノートを私は何度も目撃しました。
■算数男子の答案は雑な文字が並びます
ぼんず君の答案がすこぶる雑な文字になるのは、算数であれば証明問題やひねりが効いた数の性質などです。書きながら理論を組み立てたり、書き続けるうちに筋道が見えてくる問題の場合、頭の中でひらめく速度と手を動かす早さに差がありすぎて(手の方が遅い)、思考の速さに追い付かず、みみずのような文字になるのだろうと推測しました。
これは実際に算数の問題を解く様子を見てわかりました。ぶつぶつ小声で何か言いながら「よっしゃ」「見えた」などと言うタイミングと手の動きが違いすぎるので、書ききれないから雑な文字になるのね…と納得しました。
これを「丁寧な文字で」とうるさく言うと、ひょっとすると思考のリズムが崩れて、正解に到達できなくなるかもしれません。したがって、思考系の問題は「丁寧に書く」をうるさく言いませんでした。
代わりに丁寧な文字で書くようにうるさく言ったのは、計算問題です。文字の読み間違えや約分ミスを計算途中ですると、正解が出せません。「検算する時間がないかもしれないことを考えて、一度で正解を出せるように注意しながら解けば、自然と書きなぐるような文字にはならないよ。確実にやろう」と言い続けました。
「120回計算合格圏内テスト」を1ページ10分以内で全問正解できるようになった頃には、計算問題の文字は見違えるほど活字のような整った文字で書けるようになりました。
■受験生でも入浴時間にこだわりあり
ぼんず君は髪型や入浴スタイルにこだわりはありませんでしたが、風呂の中でいつも歌を歌っていました。流行りの曲は全く知らないので、幼少から聴き続けているクラシックのメロディーに適当な歌詞をつけた滅茶苦茶な歌です。
「受験前にのんきに歌を歌って大丈夫?」と心配でしたが、ぼんず君より上の受験終了組のお子様を持つ同級生に聞くと「うちも歌ってたよ!」「放っておくとずっと歌ってたわ」と複数の方から風呂場の歌唱話を聞きました。お風呂で歌うお子様がいらしたら、1曲くらいは見逃してあげてください。
また、娘さんが佐藤ママの言うとおりに夏期講習に参加しない時に、佐藤ママが「はぁ、何言ってるの?」と思う場面は共感5万点です! 私は日に何度も「はぁ、アホですかいな」とぼんず君に思いながら生きていますが、「はぁ?」と思ってもいいんだ笑と嬉しくなりました。
最後に、佐藤ママもお子様も受験時代を振り返って「幸せな18年間」という言葉がすぐに出てくるところに合格の秘訣が感じられました。合格するまでは苦しく、辛いこともあったでしょうが、それを含めて「幸せで、楽しい時間だった」と言える受験生活が送れれば、合格に近づけそうな気がします。
「幸せな受験生活」と思えるまでの道は遠そうですが、がんばりましょう。
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