本日は、文春オンラインの記事『超名門校・麻布ではどんな“在宅課題”が出ている? 校長が語る「休校期間の過ごし方」』をご紹介します。
麻布中学校・高等学校は、「開成」「武蔵」と並び、私立中高一貫校の「男子御三家」と呼ばれる超名門校です。2019年の東京大学合格者数は100名で全国3位。東大への合格者数全国ベストテン入りを半世紀以上キープしています。
麻布は自由な校風でも知られ、勉学においても諸活動においても生徒の自主性を尊重する教育方針が徹底されています。
麻布中学校・高等学校の平秀明校長が「文藝春秋」6月号で休校中の麻布の取り組みと「この時間をどう過ごすべきか」について語った内容の抜粋です。
■「全部やりきれるのかな」と思うぐらいの課題
「4月7日から新学期スタートの予定だったのですが、休校延長です。生徒にただ自宅待機させておくわけにもいかないので、今は各教科担当者が学習指導という形で生徒に課題を与えています。
例えば、中学3年の数学ではこれまでに学んだ単元に即した課題やプリント問題を郵送したり、ホームページにアップしたりするなどし、期日までに解いて提出するように伝えています。
本校は私立学校で安くはない授業料をいただいていますし、それに教員も家で手持無沙汰でいるよりは、なんらかの形で生徒とつながっていたほうがいい。生徒に元気を与えるだけではなく、教員自身も生徒から元気をもらうことにもなるのです。
『課題』は単純にドリル問題を解くようなものばかりではありません。私も確認しましたが、ひとつひとつ非常によく考えられていて、正直これを全部やりきれるのかなと思うぐらいです。
実技教科である音楽は、課題の設定に苦労するなと思いましたが『音楽作品や舞台芸術作品をテレビやCDなどで視聴して、いくつかの作品についてレビューを書け』など、自宅でできる課題が出ていまして、そういうやり方があったのかと感心しました。
■普段の授業も休校中の課題も教員が工夫を凝らす
もともと本校の授業はただ教科書の内容を伝えるのではなく、教員は自分たちで作ったオリジナルプリントなどを使って、いかに生徒に興味関心を持たせるか、工夫して授業を進めています。ですから今回出された学習課題も、非常に考えさせる、面白い視点のものが多くありました。
オンライン授業についても試みている教員もいるのですが、いろいろと課題が多いことがわかりました。必ずしもすべての家庭にオンライン授業に適した機材が揃っているわけではありません。また、家に一台しかないパソコンは、親がテレワークで使っているから使えないとか、さまざまなボトルネックがあることもわかりました。
学校によってはオンライン朝礼や終礼などを決まった時間にやっているところもあるようですが、生徒それぞれの家庭の事情や生活条件は違うのだから、麻布ではそこまでやる必要はないと思っています
■基本的な生活習慣を身に着けることの重要性
私がいつも、新入生(新中学1年生)に話すのは『自分が自分の主人公になること』。両親や先生に言われたからこうするというのではなく、自分で基本的な生活習慣を身につけてほしい。
ちゃんと朝起きて、3度のご飯を食べて、夜はお風呂に入って定時に寝る。早寝早起き、朝ごはん、挨拶、そして家の手伝いをしろ。これができない生徒は勉学も伸びません。休校中の今は、まずそこからだと思っています。
そういった基本的な生活習慣を身に着けたうえで、この休校の期間を使って、普段できないことをしてほしい。自宅での勉学は、普段の授業とは違い、自分の興味関心を広げたり、日ごろ読めなかった本を読んだり、関心のある事柄を深く追究する良い機会です。
学校で行う『勉強』とはつまり、『強いて勉める』ものですから、家にいるときぐらいは自分の興味の向くままに深掘りできればいいと思います。(記事終わり)
■学校のオンライン授業対応は必要です
記事の全文が掲載されている文藝春秋6月号を購入しました。本記事以外のコロナ特集があまりにも有益だったのは大きな収穫でした。これから何年もの間、コロナウィルスの影響を受けて生活する上で役立つ情報が多く掲載されていました。1つ前の5月号も注文中です。到着が楽しみです。
記事の感想としては、オンライン授業が早急に導入されなかったことを含む学校の対応については、保護者様の評価は二分するだろうなというのと、学校の課題をこなせるお子様のご家庭の対応力の高さです。
工夫の凝らされた大量の課題は自由型の学校だからこそ受け入れられる(歓迎)もので、どの学校でも成立するものではありません。麻布のような課題を「面白い」と思うお子様や保護者様は自由型の学校向きです。
自由型の学校であってもオンライン授業実施の実施や準備は必要です。休校が解除されて学校生活が再開された後でも、コロナウィルスにより学校が再び閉鎖されるリスクはしばらく続くからです。学校で感染が発生すれば即学校は閉鎖、休校です。その時にオンライン授業がすぐに実施できるような体制作りはお願いしたいです。
■校風と休校時の対応は相関関係あり
学校の校風や方針はコロナウィルスの影響で大きく変わることはありません。面倒見のよい管理型の学校は大急ぎでフォロー体制を構築して、保護者様の期待に応えるべく朝から生徒さんを監督するでしょう。
少し前の記事でご紹介した須磨学園のように、極めて先進的なオンライン授業を学校全体で進めるところもあります。学校にすべてお任せしたい保護者様には頼りになる学校に違いありません。
自由型の学校にオンラインで毎朝朝礼や点呼を求めるのはやや違うかなと思います。きめ細かいサポートやフォロー、毎日の連絡を学校に求めるのであれば、管理型の学校を選択するのが確実です。それを心地よいと感じるか、窮屈と感じるかは学校選択の一助になります。
面倒見のよい学校と思って入学させたのに、休校中のフォローや管理体制が不十分であった場合は、学校の努力不足です。今回の休校期間の体制は仕方がないとしても、コロナウィルスの次の波が到来した場合に備えて学校はどのような準備をするのかを、保護者会などで質問してよいと思います。
今回の休校期間では、どのタイプの学校に通うお子様の保護者様であっても、ご家庭で担う役割が増えたはずです。1日中、お子様が自宅にいることで、負担の大きい状態が継続中のご家庭も多いです。早く縁の下の力持ち状態から解放されたいものです。
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